信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 低酸素環境を利用したトレーニングの繰り返し効果とストレス応答

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.29 Vol.29

 大学の陸上競技長距離選手およびトライアスロン選手の12名を対象に7日間の常圧低酸素環境への間欠的滞在(LHTL)の繰り返しが運動効率およびストレス応答に及ぼす影響について検討した.被験者は高度2,500m相当(15.4%O₂)の低酸素室に1日10-12時間ずつ7日間にわたって滞在することを,1週間のインターバルを挟んで2回行い,トレーニングは平地で行う低酸素(Hypoxia; H)群とコントロール(Normoxia; N)群とに等分した.実験期間中,血液性状,および50%および80%VO₂max強度での最大下負荷テストを実施した.
 H群はLHTLによってエリスロポイエチン(EPO)および網状赤血球数(Ret)の有意な増加を認めたが,赤血球数(RBC)やヘモグロビン濃度(Hb)等の有意な増加は認められなかった.最大下負荷テストにおいてはLHTL後の運動効率に改善が見られなかったが,血中乳酸濃度(La)が低下する傾向となった.LHTL中の白血球分画およびストレスホルモンは有意ではないものの緩やかな増加傾向となった.
 以上の結果から,LHTLの繰り返しは赤血球生成を刺激する.また,運動効率の有意な改善はみとめられなかったものの,LHTL後の運動パフォーマンスには,LHTL中の低酸素に対するストレス応答と関連がある可能性が示された.

「デサントスポーツ科学」第29巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 内丸仁*1,竹村英和*1,松生香里*2,永富良一*2
大学・機関名 *1 仙台大学,*2 東北大学

キーワード

常圧低酸素環境間欠的滞在運動効率ストレス応答