Detrended Fluctuation Analysis (DFA)を用いて高齢者の歩調のゆらぎを測る (「しなやかさ・力強さ」指標から高齢者の歩行機能低下防止策を探る)
【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.29 Vol.29】
本研究では,健常高齢者26名を被験者とし,フラクタル解析の手法であるdetrended fluctuationanalysisを歩調のゆらぎに適用して,得られたfractal scaling index(α)と体力・歩行能力・体組成との連関を調べることを目的とした.αは先行研究で歩行の安定性を示す指標と考えられている.本研究でαは体力測定種目のうち敏捷性・調整力要素に分類される種目と相関し,また,3分間で歩いた距離を測定するシャトルスタミナウォークの結果とも相関を示した.このことから,体力のうち敏捷性・調整力要素の向上が,高齢者の転倒を防ぎ,長距離を歩く能力の維持につながる可能性が示唆された.また,体組成との関連では,αの高い高齢者は,体脂肪率が低く体重に占める筋量の割合が高い傾向が示された.本研究の結果から,高齢者では敏捷性・調整力・柔軟性といった体力要素を日常生活動作や軽度な運動の中で向上させることが転倒の防止と歩行機能維持に有効である可能性が示唆された.
「デサントスポーツ科学」第29巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
「デサントスポーツ科学」第29巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 | 木村みさか*1,横山慶一*2,小田伸午*2,永田晟*3 |
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大学・機関名 | *1 京都府立医科大学,*2 京都大学,*3 NPO法人日本健康づくり協会 |
キーワード
フラクタル解析、fractal scaling index、体力、歩行能力、体組成、敏捷性、調整力、シャトルスタミナウォーク、高齢者