信州大学 繊維学部技術データベース

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PDF 水中における有酸素トレーニングに対する効果的な栄養摂取について

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.29 Vol.29

 n-3系多価不飽和脂肪酸の摂取による生活習慣病の予防効果には,組織や赤血球の細胞膜脂質の変化や赤血球細胞膜の粘性の現象に伴う血液の流動性が関与していると考えられている.このような血液レオロジーの変化は,末梢での酸素運搬能向上にも有益であると考えられている.本研究では,一定期間の水中における有酸素トレーニングを行う際に,n-3系多価不飽和脂肪酸(ドコサヘキサエン酸(DHA)およびエイコサペンタエン酸(EPA))の補足の有無が,有酸素運動能力に及ぼす影響について検討した.運動習慣のない女子大学生を対象に,水中または陸上における有酸素トレーニングを行う2群を設定し,n-3系多価不飽和脂肪酸の補足の有無でさらに2群を設定し,計4群とした.また,対照として,n-3系多価不飽和脂肪酸の補足のみ行う群と,トレーニングも補足も行わない群の2群を設定した.水中有酸素トレーニングを行いかつn-3系多価不飽和脂肪酸の摂取を行った群は,n-3系多価不飽和脂肪酸のみ摂取した群と比較して,赤血球膜脂質中のn-3系多価不飽和脂肪酸が有意に増加した.また,水中有酸素トレーニングを行いかつn-3系多価不飽和脂肪酸の摂取を行った群にのみにおいて,最大酸素摂取量が有意に増加した.以上より,水中有酸素トレーニングを行いかつn-3系多価不飽和脂肪酸を補足することにより,赤血球膜脂質へのn-3系多価不飽和脂肪酸の取り込みが増加し,一定期間の水中における有酸素トレーニングの効率が有意に上がることが示唆された.

「デサントスポーツ科学」第29巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 籠橋有紀子,名和田清子
大学・機関名 島根県立大学短期大学部

キーワード

n-3 系多価不飽和脂肪酸ドコサヘキサエン酸(DHA)エイコサペンタエン酸(EPA)水中有酸素トレーニング最大酸素摂取量