部分的な筋温の低下は筋疲労にどのくらい影響を及ぼすか?
【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.29 Vol.29】
本研究では腓腹筋近位部への部分冷却がカーフレイズ中の下腿三頭筋の筋活動に及ぼす影響について検討した.被検者は男女計8名であった.最初に特に制限を設けずに片足でのカーフレイズ運動を2秒に1回のペースで計25回行った(コントロール試行).その後,腓腹筋近位部へ30分間の部分冷却を行った.冷却後にコントロール試行と全く同様な方法でカーフレイズ運動を行った(冷却試行).運動中には腓腹筋外側頭の近位部(LGpro)・遠位部(LGdis),腓腹筋内側頭の近位部(MGpro)・遠位部(MGdis)およびヒラメ筋(Sol)より表面筋電図(EMG)を記録し,予め行っておいた両脚でカーフレイズ運動時のEMGで全てのEMGデータを規格化した.コントロール試行前と部分冷却直後の足関節底屈の最大筋力(MVC)を測定した.MVCに有意な変化は認められなかった.コントロール試行と比較して冷却試行では,いずれの部位においても有意な表面筋電図の増加が認められた.コントロール試行と比較して冷却試行における表面筋電図の増加率では,MGproはMGdisより有意に高値を示し,LGproとLGdisでは有意な差は認められなかった.以上のことから,冷却部位においては筋活動の増加がみられたが,部位間の比較ではMGでは試行間に同様な傾向であったのに対して,LGでは冷却試行において非冷却部であるLGdisでも筋活動の増加がみられ,これは疲労を回避する神経筋制御機構の一つであると示唆された.
「デサントスポーツ科学」第29巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
「デサントスポーツ科学」第29巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 | 秋間広*1,白斯琴图雅*2 |
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大学・機関名 | *1 名古屋大学,*2 名古屋市立大学 |
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