信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 透析患者に対するラバーチューブを用いた床上トレーニングの効果

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.31 Vol.31

 不活動なライフスタイルに伴う身体活動量の減少や運動能力の低下によって透析患者の筋力・体力の低下は顕著であり,日常生活動作に支障をきたし,QOL低下の一因になっている.従って,透析患者に定期的な運動プログラムを実施することは健常者以上に重要である.本研究の目的は,透析患者を対象にトレーニングラバーチューブを用いて,安全・安価かつ簡便,また特別なスペースを必要としない,透析治療中に床上で実施する運動プログラムを実施し,その効果を検証することが目的であった.50歳以上の透析患者47名(男性36名および女性11名,年齢67.4±8.4歳)が本研究に被験者として参加した.彼らのうち,運動群が17名,コントロール群が30名であった.研究の目的と内容を充分に説明した後,すべての被験者から研究参加への同意を得た.運動群はトレーニングラバーチューブを用いた24週間の運動プログラムに参加した.このプログラムは1回およそ20分間,1週間に3回の頻度で実施した.筋力や身体機能についての測定を,運動プログラム開始時,12週間後,24週間後の計3回実施した.その結果,いくつかの項目で運動群に有意な改善がみられた.従って,トレーニングラバーチューブを用いた低強度の運動プログラムは透析患者の身体機能を向上させるのに寄与することが明らかになった.この結果は,身体活動レベルの著しく劣る透析患者のQOLを高める可能性を示したものであり,社会的にも臨床上においても非常に意義のあるものと考えられる.

「デサントスポーツ科学」第31巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 島本英樹,鈴木純恵,飛田伊都子
大学・機関名 大阪大学

キーワード

運動能力透析患者QOL運動プログラムラバーチューブ