信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 筋力増加に最も有効な血流制限下トレーニング運動条件の検索−筋内エネルギー代謝の検討−

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.31 Vol.31

 最近,低強度負荷に血流制限を併用したトレーニングが高強度トレーニングと同等の筋肥大や筋力増加をもたらすことが報告された.この血流制限の作用機序は代謝的負荷の増加が関わっていると推測されているが,詳細は不明である.我々はリンの磁気共鳴スペクトロスコピー(³¹P-MRS)を用いて,トレーニング運動中の筋内代謝(クレアチンリン酸(PCr)およびpH)を測定した.血流制限下運動の負荷強度や血流制限圧を変化させることによって,最も有効な運動プロトコルの検索を行った.運動は2分間の下肢低屈運動で行われた.血流制限を併用した低強度負荷(20%1RM)運動中のPCrおよびpHの変化は自然血流下の低強度負荷運動中の変化より有意に大きかったが,高強度負荷(65%1RM)運動中の変化より小さかった.30%1RMに血流制限を併用した運動中の変化は高強度負荷運動中の変化と同等であった.一方,血流制限に用いる圧を増加させても代謝に与える影響はなかった.我々の結果は血流制限運動中の代謝負荷は運動強度と関連していることを示唆している.高強度負荷運動と同等の効果を得るためには血流制限に30%1RM以上の強度の負荷の併用が必要と考えられる.

「デサントスポーツ科学」第31巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 絹川真太郎*1,菅唯志*1,沖田孝一*2
大学・機関名 *1 北海道大学大学院,*2 北翔大学

キーワード

血流制限強度トレーニング磁気共鳴スペクトロスコピー筋内代謝運動プロトコル