信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 自発運動によるアディポネクチン分泌制御を介した脳卒中予防効果の解明

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.31 Vol.31

 脳卒中患者において,血中アディポネクチン濃度が低下するとの報告がある.しかし,脳血管疾患とアディポネクチンの関連は明らかにされていない.本研究では,ヒト脳卒中のモデル動物である悪性脳卒中易発症性高血圧自然発症ラット(M-SHRSP)を用いて,自発的運動が脳卒中発症及び血漿アディポネクチン動態に及ぼす影響を明らかにするとともに,脳卒中発症後のM-SHRSPにアディポネクチンを投与したときの脳卒中病態への影響について検討を行った.5週齢の雄性MSHRSPを回転カゴ付きケージに収容し,自発的に運動ができる環境で飼育し,通常ケージで飼育した非運動対照群との比較を行った.その結果,自発運動群は非運動対照群に比べ,脳卒中発症日の遅延及び著明な生存日数の延長が観察された.非運動対照群では,血漿アディポネクチンの低下が観察されたが,自発運動群ではこの血漿アディポネクチンの低下が部分的に改善されていた.一方,脳卒中発症後のアディポネクチン投与は脳卒中病態の進展にほとんど影響を与えなかった.運動習慣は,脳卒中発症時期における血中アディポネクチン濃度の低下を部分的に改善することで脳卒中発症の予防に働く可能性が考えられた.

「デサントスポーツ科学」第31巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 田渕正樹*1,阪上浩*2,大島佳奈*1
大学・機関名 *1 近畿大学,*2 徳島大学大学院

キーワード

脳卒中血中アディポネクチン脳血管疾患悪性脳卒中易発症性高血圧自然発症ラット(M-SHRSP)