キツイ運動は一瞬の判断を鈍らせるか?(運動中の認知課題のパフォーマンスからの検証)
【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.31 Vol.31】
本研究の目的は,運動が認知機能に及ぼす影響を検討し,脳の組織酸素飽和度の変化との関係を明らかにすることであった.10名の健康な男性が実験に参加した.実験参加者は最高酸素摂取量の40%,60%,80%の運動強度での運動中に認知課題の一種であるフランカー課題を行い,反応時間を測定した.あわせて脳の右前頭部から近赤外線分光法を用いて脳の組織酸素飽和度を測定した.その結果,低強度での運動は反応時間に影響を与えなかったが,中強度の運動中には不一致条件において反応時間に短縮がみられた.脳の組織酸素飽和度は中強度の運動中と安静時との間で差はみられなかった.高強度での運動中には脳の組織酸素飽和度は低下がみられたものの,反応時間は安静時と比較して差はみられなかった.以上の結果から,中強度での運動中にみられた認知機能の向上は,脳の組織酸素飽和度の変化とは直接は関係していないことが示唆された.
「デサントスポーツ科学」第31巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
「デサントスポーツ科学」第31巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 | 安藤創一*1,山田陽介*2,木村みさか*1 |
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大学・機関名 | *1 京都府立医科大学,*2 福岡大学 |
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