信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 筋内電気的ノイズ刺激による協働筋の力調節能力のメカニズム解明

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.31 Vol.31

 発揮筋力を正確に調節する能力(力調節能力)は健康的な生活を送るために重要である.この機能を向上させるために運動トレーニングが奨励されているが,運動機能の劣った高齢者にとってこの手法には問題がある.そこで本研究は,ノイズ電気刺激により力調節能力が向上するか否かを検討し,協働筋の力調節能力向上のメカニズムを明らかにすることを目的とした.膝関節伸展の力調節課題(2.5%および5%MVCをそれぞれ60秒間)を以下の条件で行った:1)刺激を与えない,2)ノイズ電気刺激を大腿直筋のみに与える,3)ノイズ電気刺激を外側広筋のみに与える,4)ノイズ電気刺激を内側広筋のみに与える,5)ノイズ電気刺激を膝伸展筋群に与える[実験1].その結果,ノイズ刺激を外側広筋のみに与えた条件では,膝伸展の前後・内外方向の発揮張力の標準偏差が他の条件に比べ有意に高い値であった.足関節底屈の力調節課題(5%MVC)を脛骨神経へのノイズ電気刺激有りと無しの条件下で行った[実験2].その結果,ノイズ電気刺激有り条件下での発揮張力の標準偏差は刺激無し条件に比して有意に小さかった.また,ノイズ電気刺激時の運動単位発火の変動(標準偏差および変動係数)はノイズ無しに比べ有意に小さかった.これら結果より,1)ノイズ電気刺激は力調節能力に影響を与えること,2)複数の筋で構成されている筋群の力調節能力は,協働筋内の単一筋刺激で変化すること,3)ノイズ電気刺激による力調節能力の向上は,運動単位の発火頻度の安定性が起因していることが明らかになった.

「デサントスポーツ科学」第31巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 神﨑素樹,木村哲也
大学・機関名 京都大学大学院

キーワード

発揮筋力力調節能力ノイズ電気刺激大腿直筋外側広筋内側広筋膝伸展筋群足関節底屈脛骨神経