競泳用水着の材質・機能の違いが水泳中の抵抗,エネルギー消費量に与える影響
【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.31 Vol.31】
本研究の目的は,材質や機能の異なる新型水着が水泳運動時の抵抗力,酸素摂取量に及ぼす影響について明らかにすることであった.被検者は,良く鍛練された男子大学水泳選手8名(年齢21±1歳)とした.本実験では,2008年に開発された3タイプの新型水着,および従来型の水着を用い,泳速−抵抗関係,および最大下強度泳時の酸素摂取量が計測された.抵抗は,MAD(Measurement of Active Drag)システムを用いて測定された.最大下泳中(1.2m・s⁻¹)の酸素摂取量は,水着の条件間で有意な差は認められなかった.1.2〜2.0m・s⁻¹にかけて推測された抵抗値にも統計上有意な差は認められなかったが,新型水着における抵抗値は,従来型より1〜6N(3〜6%)低い傾向が認められた.この得られた抵抗差から100m〜400mの競泳パフォーマンスを推定したところ,新型水着着用時には1秒から4秒ほどの記録の短縮が期待された.以上の結果より,新型水着を着用した場合,従来型と比較して群間で統計的有意差が得られるほどではないものの,若干抵抗が軽減し,記録が向上する傾向が示唆された.
「デサントスポーツ科学」第31巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
「デサントスポーツ科学」第31巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 | 荻田太,田中孝夫,田口信教 |
---|---|
大学・機関名 | 鹿屋体育大学 |
キーワード