信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 遺伝的素因による生活習慣病リスクの増大に習慣的運動が及ぼす影響

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.32 Vol.32

 本研究は,動脈硬化リスクに対するホモシステインの代謝酵素,5,10-methylene tetrahydrofolate reductase遺伝子(MTHFR:677C→T)やグレリン遺伝子(GHRL:214C → A)の多様性に体力レベルの違いが影響するかを横断的に検討した.男女763名を対象にMTHFRおよびGHRL遺伝子多型をTaqman法にて判定し,動脈硬化の指標として頸動脈βスティフネスを測定した.体力レベルは最大酸素摂取量を測定し,各年代・性別ごとの平均値を基準にHigh-FitとLow-Fitに分けた.MTHFR遺伝子のTT型は,High-Fit,Low-Fit群ともに有意に高い血中ホモシステイン濃度を示した.Low-Fit群においてMTHFR遺伝子のTT型の頸動脈βスティフネスはCCおよびCT型よりも有意に高値を示したが,High-Fit群では多型間に差が認められなかった.一方,GHRL遺伝子のAA型の総コレステロールおよびLDLコレステロール,中性脂肪はCCおよびCA型よりも有意に低値を示した.GHRL遺伝子多型および体力レベルにより頸動脈βスティフネスの差は認められなかった.これらの結果から,MTHFR遺伝子多型677C→Tによる動脈硬化リスクの多様性に体力レベルの違いが影響する可能性が示唆された.

「デサントスポーツ科学」第32巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 家光素行*1,宮地元彦*2,村上晴香*2,真田樹義*1,田畑泉*1
大学・機関名 *1 立命館大学,*2 国立健康・栄養研究所

キーワード

動脈硬化頸動脈βスティフネス最大酸素摂取量MTHFR遺伝子