信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 発汗に依存しない熱中症予防を目的としたスポーツウェアの開発と検証

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.33 Vol.33

 要旨

 本研究では,発汗に依存しない熱中症の予防のためのウェアの提案をすることを目的とした.
 対象者は保冷剤を装着したウェアと非着用のウェアの2種類を無作為の順序で着用した.室温35℃,湿度70%の環境下で70%最大酸素摂取量の運動を実施した.運動時間は10分間とし,その後30分間を同環境で安静に過ごした.試験中に直腸温,腋下皮膚温(保冷剤の直下),腹部皮膚温(保冷剤の無い部分),試験前後に体重と感覚尺度の評価を行った.
 測定中の直腸温の変化に両群で差は認められなかったが,腋下と腹部の皮膚温はクールパック装着後に低下し,試験終了時まで低値であった(p<0.05).試験前後で両群ともに体重は減少したが(p<0.05),その減少幅はクールパック群が有意に小さかった(p<0.05).また「体感温度」と「集中力・意欲の低下」に試験間で差を認めた(p<0.05).
 本研究はクールパックの装着により,身体の脱水を抑制しながらも,パック非着用時と同程度の体温上昇におさめることができることを示した.

「デサントスポーツ科学」第33巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 飛奈卓郎,下山寛之,桧垣靖樹,清永明
大学・機関名 福岡大学

キーワード

熱中症保冷剤最大酸素摂取量脱水