骨格筋肥大・萎縮の制御に長寿遺伝子はどのように関わるのか
【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.35 Vol.35】
要旨
5'AMP-activated protein kinase(AMPK)は糖・脂質・エネルギー代謝を調節して健康増進をもたらす長寿関連遺伝子の1つであるが,骨格筋量の調節に関与することも示唆されている.本研究ではAMPKが骨格筋量を制御するメカニズムについて,骨格筋AMPKを特異的に不活性化したマウスを用いて検討した.野生型マウス(WT)と骨格筋特異的AMPK不活性化マウス(AMPK-DN)に対し,2週間の後肢懸垂処置によるヒラメ筋への負荷除去および後肢懸垂後に1および2週間の通常飼育による再荷重を行ったところ,AMPK-DNはWTに比べて筋萎縮の程度が軽減された.WTではタンパク質分解を促進するmuscle Ring-finger1のmRNA発現が増加したが,AMPK-DNでは変化がなかった.また,タンパク質合成を促進するAkt/p70 s6 kinase経路はAMPK-DNにおいてWTに比べてより活性化していた.以上より,長寿関連遺伝子AMPKはタンパク質合成・分解を調節して,骨格筋量を負に制御することが明らかになった.
「デサントスポーツ科学」第35巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
5'AMP-activated protein kinase(AMPK)は糖・脂質・エネルギー代謝を調節して健康増進をもたらす長寿関連遺伝子の1つであるが,骨格筋量の調節に関与することも示唆されている.本研究ではAMPKが骨格筋量を制御するメカニズムについて,骨格筋AMPKを特異的に不活性化したマウスを用いて検討した.野生型マウス(WT)と骨格筋特異的AMPK不活性化マウス(AMPK-DN)に対し,2週間の後肢懸垂処置によるヒラメ筋への負荷除去および後肢懸垂後に1および2週間の通常飼育による再荷重を行ったところ,AMPK-DNはWTに比べて筋萎縮の程度が軽減された.WTではタンパク質分解を促進するmuscle Ring-finger1のmRNA発現が増加したが,AMPK-DNでは変化がなかった.また,タンパク質合成を促進するAkt/p70 s6 kinase経路はAMPK-DNにおいてWTに比べてより活性化していた.以上より,長寿関連遺伝子AMPKはタンパク質合成・分解を調節して,骨格筋量を負に制御することが明らかになった.
「デサントスポーツ科学」第35巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 | 江川達郎*1,後藤勝正*1,後藤亜由美*1,大野善隆*1,林達也*2 |
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大学・機関名 | *1 豊橋創造大学大学院,*2 京都大学大学院 |
キーワード