信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 光電脈波信号に重畳する体動アーチファクトの除去に関する研究

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.35 Vol.35

 要旨

 光電脈波計は,脈拍数のモニタとして広く用いられている.しかし,光電脈波は体動の影響を受けやすく,運動中の脈拍数を正確に計測することは困難である.そこで本研究では,光電脈波計の装着圧を制御するシステムを開発し,装着圧を制御することで光電脈波に重畳する体動アーチファクトを除去することを試みた.7名の被験者は加圧なし,制御なし加圧,制御あり加圧の3条件で緑色光電脈波計を上腕に装着し,トレッドミル上を4km/hで歩行した.制御あり加圧条件においては,開発したシステムによって装着圧を常に30mmHgに維持した.各条件における体動アーチファクトの影響を歩行中の脈拍数の誤差をもって評価した結果,加圧なし,制御なし加圧,制御あり加圧における平均誤差は19.6%,5.4%,3.6%となった.3つの装着条件に統計的な差は得られなかったが,制御あり加圧で誤差が最小になる傾向がみられた.また,誤差が5%未満となる被験者数は,加圧なしで7名中2名,制御なし加圧で4名,制御あり加圧で6名であった.これらの結果から,適切な装着圧を維持するシステムが光電脈波に重畳する体動アーチファクトを除去するために有効であると示唆された.

「デサントスポーツ科学」第35巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 関根正樹*1,前田祐佳*2,田村俊世*1,吉田正樹*1
大学・機関名 *1 大阪電気通信大学,*2 筑波大学

キーワード

光電脈波計脈拍数体動アーチファクト