信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 長時間運動が認知機能に及ぼす影響 :脳循環動態の変化から探る

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.36 Vol.36

 要旨

 先行研究では,運動による脳血流量の変化が認知機能に影響することが示唆されている.しかしながら,直接これらの影響について報告した研究は安静時においてもみられない.本研究では,長時間運動時の脳血流量の減少が,認知機能に及ぼす影響について調査した.認知機能はストループ試験により評価した.安静時にストループ試験を行った後,被験者は自転車エルゴメータでサイクリング運動を開始した.5分のウォームアップの後,漸増的に負荷を増加させ(0.5kpm),目標心拍数(140bpm)に到達させた.その後,一定負荷強度(到達負荷強度)で50分間サイクリング運動を継続し,10,20,50分目にストループ試験を行った.運動中の脳血流量は,運動開始10分後をピークに,経時的に徐々に減少した.この時,ストループ試験の誤答数に有意差は観察されなかったが,反応時間は減少し,認知機能が亢進することが示された.運動中の認知機能は脳血流量減少により低下するよりむしろ改善していた.これらの結果は,運動中,認知機能は脳血流の変化に影響を受けず,むしろ運動による脳神経活動の変化に影響する可能性を示唆している.

「デサントスポーツ科学」第36巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 小河繁彦
大学・機関名 東洋大学

キーワード

脳血流量認知機能ストループ試験