信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 皮膚バリア保護的に働く弱酸性ポリエステルを利用した 化繊アレルギー原因物質の解明

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.36 Vol.36

 要旨

 本研究では,化繊を着用した際にかゆみやただれといった症状を呈する接触性皮膚炎の原因を明らかにするために,医学科学生にアンケート調査およびパッチテストを行った.また皮膚障害を起こしにくい化繊として開発した新素材繊維がかゆみを抑えるメカニズムを明らかにするために人工汗のICP-MSによる金属成分の吸収試験を行った.さらに,吸収試験後の汗に含まれる蛋白のSDS-PAGE分析を行った.パッチテストでは56名中13名(23.2%)で陽性と回答があり化繊による皮膚障害既往歴と有意に関連が認められた(p=0.024).人工汗を作製し弱酸性ポリエステルと従来品の元素吸収の違いをICP-MSで検討したところ,両ポリエステル共にPbやCu,Alの金属元素は強く吸収されることがわかった.しかしながら従来品の方が吸着性能が高かった.さらに汗の吸収試験を行い,両ポリエステルにおける蛋白吸着の違いを検討したが,両群のバンドに大きな違いは認められなかった.

「デサントスポーツ科学」第36巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 弘田量二*1,宇梶百恵*2
大学・機関名 *1 高知大学, *2 大妻女子大学

キーワード

接触性皮膚炎ICP-MSSDS-PAGE弱酸性ポリエステル