低酸素間欠的無呼吸が中心循環動態に与える影響 〜睡眠時無呼吸症候群による心血管疾患発症機序の解明および予防法の構築〜
【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.36 Vol.36】
要旨
睡眠中に気道の狭窄・閉塞を繰り返す睡眠時無呼吸症候群(SAS)は,心血管疾患(CVD)の独立したリスク要因である.しかしながら,その病態生理の機序は明らかではない.本研究では心負荷を正確に評価するために間欠的な無呼吸中の大動脈動態の変動を検討した.
15名の健常な男性(23±2歳)は自然呼気の無呼吸(無呼吸期)と40秒の普通呼吸(回復期)を20回繰り返した.大動脈動態は一般伝達関数を用いた波形解析ソフトウェアに取り込み,橈骨動脈から大動脈圧を推定した.無呼吸期と回復期を繰り返している間,大動脈と抹消の収縮期血圧は無呼吸後の回復期に比べて有意に増加した.さらに,抹消の収縮期血圧および心拍は20分の呼吸介入を通じて有意に増加した.心筋の酸素消費の指標であるダブルプロダクトも呼吸介入を通じて有意に増加した.これら結果から,間欠的無呼吸後の再呼吸時に血圧が一時的に上昇することが示唆された.
「デサントスポーツ科学」第36巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
睡眠中に気道の狭窄・閉塞を繰り返す睡眠時無呼吸症候群(SAS)は,心血管疾患(CVD)の独立したリスク要因である.しかしながら,その病態生理の機序は明らかではない.本研究では心負荷を正確に評価するために間欠的な無呼吸中の大動脈動態の変動を検討した.
15名の健常な男性(23±2歳)は自然呼気の無呼吸(無呼吸期)と40秒の普通呼吸(回復期)を20回繰り返した.大動脈動態は一般伝達関数を用いた波形解析ソフトウェアに取り込み,橈骨動脈から大動脈圧を推定した.無呼吸期と回復期を繰り返している間,大動脈と抹消の収縮期血圧は無呼吸後の回復期に比べて有意に増加した.さらに,抹消の収縮期血圧および心拍は20分の呼吸介入を通じて有意に増加した.心筋の酸素消費の指標であるダブルプロダクトも呼吸介入を通じて有意に増加した.これら結果から,間欠的無呼吸後の再呼吸時に血圧が一時的に上昇することが示唆された.
「デサントスポーツ科学」第36巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 | 今井智子*1,菅原順*2,小河繁彦*3 |
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大学・機関名 | *1 筑波大学, *2 産業技術総合研究所, *3 東洋大学 |
キーワード