運動疲労の脳磁図研究
【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.36 Vol.36】
要旨
抑制システムと促進システムは,身体的な疲労時のパフォーマンスを決定するために重要な役割を演じる.我々は,脳磁図と古典的条件付けを用いて抑制システムと促進システムの神経メカニズムを明らかにしようと試みた.実験1として,メトロノーム音に従って右手(利き手)の最大の握りのイメージを10分間実施した(メトロノーム音は,5分後に開始した).抑制を引き起こす無条件刺激として右手の最大の握りを施行する身体的疲労負荷課題を実施した.翌日,メトロノーム音に従って右手の最大の握りのイメージを10分間実施した.その結果,右の背外側前頭前野(ブロードマン46野)において,200〜300ms後に事象関連脱同期が認められた.この事象関連脱同期レベルは,右手疲労の主観的なレベルと正の相関を認めた.実験2として,メトロノーム音に従って右手の最大の握りのイメージを10分間実施した(メトロノーム音は,5分後に開始した).抑制を引き起こす無条件刺激として右手の最大の握りを施行する身体的疲労を実施した.翌日,メトロノーム音に従って右手の最大の握りのイメージを10分間,意欲ありとなしの課題を実施した.意欲なしセッションと比較して意欲ありセッションでは,右の背外側前頭前野(ブロードマン46野)において,400〜500ms後に事象関連脱同期が認められた.本研究により,右の背外側前頭前野が,身体的疲労時,抑制システムと促進システムの両方に関係することが明らかになった.
「デサントスポーツ科学」第36巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
抑制システムと促進システムは,身体的な疲労時のパフォーマンスを決定するために重要な役割を演じる.我々は,脳磁図と古典的条件付けを用いて抑制システムと促進システムの神経メカニズムを明らかにしようと試みた.実験1として,メトロノーム音に従って右手(利き手)の最大の握りのイメージを10分間実施した(メトロノーム音は,5分後に開始した).抑制を引き起こす無条件刺激として右手の最大の握りを施行する身体的疲労負荷課題を実施した.翌日,メトロノーム音に従って右手の最大の握りのイメージを10分間実施した.その結果,右の背外側前頭前野(ブロードマン46野)において,200〜300ms後に事象関連脱同期が認められた.この事象関連脱同期レベルは,右手疲労の主観的なレベルと正の相関を認めた.実験2として,メトロノーム音に従って右手の最大の握りのイメージを10分間実施した(メトロノーム音は,5分後に開始した).抑制を引き起こす無条件刺激として右手の最大の握りを施行する身体的疲労を実施した.翌日,メトロノーム音に従って右手の最大の握りのイメージを10分間,意欲ありとなしの課題を実施した.意欲なしセッションと比較して意欲ありセッションでは,右の背外側前頭前野(ブロードマン46野)において,400〜500ms後に事象関連脱同期が認められた.本研究により,右の背外側前頭前野が,身体的疲労時,抑制システムと促進システムの両方に関係することが明らかになった.
「デサントスポーツ科学」第36巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 | 田中雅彰 |
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大学・機関名 | 大阪市立大学大学院 |
キーワード