信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 非運動時に血流制限を施行した レジスタンス運動の有効性の検証

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.36 Vol.36

 要旨

 近年,血流制限の併用により,低強度負荷を用いたレジスタンス運動においても,高強度負荷を用いた場合に匹敵する効果が得られることが報告された.しかしながら,この方法は一般的に複数セットで施行され,血流制限は運動時および運動休止時(非運動時)にも継続されるため,被験者の苦痛は無視できない.血流制限を間欠的に施行することで,苦痛は軽減可能と考えられるが,有効性が低下する懸念がある.本研究では,複数セットのレジスタンス運動において間欠的に血流制限を施行する方法の有効性を磁気共鳴分光法により測定した骨格筋内代謝的負荷(筋内クレアチンリン酸およびpHの低下度)により検討した.仰臥位右足関節底屈運動を1分間(30回/分),3セット行い,セット間1分間の休息期を計2回とし,20%1RM(血流制限なし),20%1RM+休息期(非運動時)血流制限,20%1RM+運動時血流制限,20%1RM+継続的血流制限,の4つの条件で施行し,代謝的負荷を比較した.
 その結果,間欠的に血流を制限した休息期(非運動時)血流制限および運動期血流制限において,非血流制限に比較し,代謝的負荷は有意に増強していた.間欠的条件間の比較では,休息期では休息期血流制限において,運動期では運動期血流制限において,有意に代謝的負荷が上回っていたが,最終セット終了時では,有意差はなく,少なくても同等の効果があることが示唆された.しかしながら,いずれの間欠的血流制限においても,継続的血流制限に比し,筋への負荷が十分ではなく,今後,有効なプロトコールを再検討するための研究が必要であると思われた.

「デサントスポーツ科学」第36巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 沖田孝一*1,高田真吾*2,吉田真*1,森田憲輝*3,横田卓*4
大学・機関名 *1 北翔大学, *2 北海道大学大学院, *3 北海道教育大学, *4 北海道大学

キーワード

血流制限レジスタンス運動骨格筋内代謝的負荷底屈運動