スーツの「着心地」を数値化する計測・評価法の開発と検証

　要旨

　本研究では，肩周り寸法が異なるスーツ上衣，臀部形状が異なるスラックスを被験者がそれぞれ着用したのち提案した試技で「着心地」評価を行うとともに，評価試技を行っているときの衣服圧や筋電図を測定し，「着心地」の計測・評価方法を提案した．その結果，上衣及びスラックスの「着心地」を適切に評価する 4 種類の試技を提案した．上衣の「着心地」官能検査結果より，肩周り寸法を大きくすることによって圧迫感，窮屈感，ツッパリ感，動作拘束感がなく，着心地が良いと評価された．また，水平内転運動や前方挙上運動時に測定した衣服圧の測定結果や各試技を行う際に重要な三角筋前部と大胸筋に注目して筋活動量を測定した結果より，着心地が良いと評価された部位において衣服圧や筋活動量が低くなっていることを確認した．さらに，スラックスの「着心地」官能検査結果より，片足上挙運動やしゃがみこみ運動においてクセ取り加工して股上丈が長いスラックスは「着心地」が良いと評価された．各試技における衣服圧測定結果より，着心地が良いと評価された部位において衣服圧が低くなっていることを確認した．このように，スーツ上衣やスラックスの「着心地」をそれぞれ官能評価する試技，「着心地」評価時において着衣から受ける衣服圧や試技によって生じる筋活動量を評価する方法を提案し，その有効性を確認した．

「デサントスポーツ科学」第36巻/公益財団法人石本記念デサントスポーツ科学振興財団

研究者名	西松豊典，金井博幸
大学・機関名	信州大学

キーワード

肩周り寸法、臀部形状、着心地、衣服圧、筋電図

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