信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF スポーツ脳震盪の診断と競技復帰に関わる唾液中のバイオマーカー探索研究

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.45 Vol.45

 要旨

 スポーツ脳震盪の診断の指標となるバイオマーカーは確立されていない.本研究の目的は,学生アメリカンフットボール部の選手を対象に,侵襲無く採取可能な唾液検体を用いて,脳震盪受傷前後および脳震盪からの回復時のmicroRNAおよび蛋白発現を解析し,脳震盪の診断および回復の指標となる唾液中のバイオマーカーを探索することである.解析対象となったのは,脳震盪受傷前(Pre) の6検体,脳震盪受傷後(Post) の9検体,脳震盪回復後(Rec) の3検体であった.これらの検体からmicroRNAの抽出および蛋白質量分析により,Pre→ Post→ Recの各段階で発現の変化するバイオマーカーを解析し同定した.解析の結果,神経再生に関係するとされるSPRR1A(Small prolinerich repeat protein1A) 蛋白が,Pre → Post で有意に発現が増加し,Post→Recで発現が低下する傾向にあり,スポーツ脳震盪における唾液中のバイオマーカーになる可能性が示唆された.

 「デサントスポーツ科学」 第45巻/公益財団法人石本記念デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 中村洋平*1, 松本寿健*1, 戸上由貴*1, 奥崎大介*2, 織田 順*3
大学・機関名 *1 大阪大学大学院, *2 大阪大学

キーワード

スポーツ脳震盪唾液競技復帰バイオマーカープロテオーム解析