野球投手の血行障害予防に向けたクールダウン手法の開発
【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.45 Vol.45】
要旨
投球動作に起因するスポーツ障害の中でも,血行障害の予防策は十分に確立されていない.そこで本研究では,野球投手においてピッチング後に行うアイシングが上腕血行動態に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした.大学野球投手12名を対象に98球のピッチング課題を実施し,ピッチング後にアイシングを行わない対照条件とアイシングを行う介入条件の2条件を設定した.ピッチングの前後において主観的疲労感,肩関節外旋・内旋筋力,上腕血行動態を評価した.なお,上腕血行動態の評価では,血管内皮機能の指標であるRHI (reactive hyperemia index) スコアを算出した.主観的疲労感と肩関節筋力には,時間と条件の有意な交互作用は認められなかった.一方で,RHIスコアの経時変化とアイシングの有無には有意な交互作用が確認され,ピッチング後にアイシングを行う条件では翌日のRHIスコアが低下していた.本研究で得られた結果より,ピッチング後におけるアイシングの有無が血管内皮機能に影響を及ぼす可能性が示された.この結果は,野球投手の血行障害予防に向けたクールダウン手法を検討する上で重要な基礎的知見であると考えられる.
「デサントスポーツ科学」 第45巻/公益財団法人石本記念デサントスポーツ科学振興財団
投球動作に起因するスポーツ障害の中でも,血行障害の予防策は十分に確立されていない.そこで本研究では,野球投手においてピッチング後に行うアイシングが上腕血行動態に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした.大学野球投手12名を対象に98球のピッチング課題を実施し,ピッチング後にアイシングを行わない対照条件とアイシングを行う介入条件の2条件を設定した.ピッチングの前後において主観的疲労感,肩関節外旋・内旋筋力,上腕血行動態を評価した.なお,上腕血行動態の評価では,血管内皮機能の指標であるRHI (reactive hyperemia index) スコアを算出した.主観的疲労感と肩関節筋力には,時間と条件の有意な交互作用は認められなかった.一方で,RHIスコアの経時変化とアイシングの有無には有意な交互作用が確認され,ピッチング後にアイシングを行う条件では翌日のRHIスコアが低下していた.本研究で得られた結果より,ピッチング後におけるアイシングの有無が血管内皮機能に影響を及ぼす可能性が示された.この結果は,野球投手の血行障害予防に向けたクールダウン手法を検討する上で重要な基礎的知見であると考えられる.
「デサントスポーツ科学」 第45巻/公益財団法人石本記念デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 | 小﨑恵生*1, 森 翔也*1, 吉岡将輝*1, 川村 卓*1, 前田清司*2 |
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大学・機関名 | *1 筑波大学, *2 早稲田大学 |
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