信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 3D着装シミュレーションにおけるスポーツ衣料の質感の評価基準

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.45 Vol.45

 要旨

 スポーツ衣料を対象に,3D着装シミュレーションの衣服表面質感の実物との比較時の評価基準を調べた.シミュレーション衣服画像と実物衣服画像の類似性と相違性,印象の比較実験を行った.また,視線追跡装置を用いて評価者の印象評価時の衣服の注視部位を計測した.スポーツ衣料8着(上衣下衣各4着)を用意し,ボディに着用させたシミュレーションと実物の画像を作成した.評価者は20代大学生20名である.実験の結果,評価者はシミュレーション画像と実物画像において,チェスト,ヒップ,レッグなど,衣服の曲面の部位を注視した.衣服の印象については「派手さ」「上品さ」「シンプルさ」「ゆったりさ」の項目でシミュレーション画像と実物画像の間に有意な差はなかった.しかし,明るい色の生地および光沢のある生地の衣服では,厚さ,重さ,なめらかさ及び光沢感の評価に,有意な差が見られ,色が暗く,マットな( 光沢のない) 生地の衣服では,風合いやテクスチャの印象におけるシミュレーション画像と実物画像の間に有意な差は見られなかった.3D着装シミュレーションにおけるスポーツ衣料の質感を実物と比較する際,差が生じる質感の項目は「厚さ」「重さ」「なめらかさ」及び「光沢」であり,シミュレーション画像の評価ポイントになる.電子商取引において,シミュレーション画像は衣服の印象を伝えることができ,本研究結果の評価ポイントで評価基準を作成し,商品画像を用途に合わせて評価し用いることでより有効な活用が可能だと考えられる.

 「デサントスポーツ科学」 第45巻/公益財団法人石本記念デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 金 炅屋*1, 石田英衣*2, 高寺政行*1
大学・機関名 *1 信州大学, *2 信州大学大学院

キーワード

3D着装シミュレーションスポーツ衣料質感電子商取引