信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF マスク着用が運動時の呼吸筋活動,呼吸循環応答および有酸素能力に及ぼす影響

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.44 Vol.44

 要旨

 本研究は,マスク着用が運動時の呼吸代謝応答および運動能力に及ぼす影響を調べることを目的とした.9 名の健康男子大学生が実験に参加した.実験は,布マスクを着用(FM)およびマスクなし(CON)の条件において,トレッドミル走による漸増負荷運動を疲労困憊まで行った.運動中,呼気ガス代謝分析器を用いて,換気量(VE)および最大酸素摂取量(VO2max)を測定した.最大VEはFMでCONよりも有意に低値を示す一方で(p<0.05),口腔内圧はFMで有意に高値を示した(p<0.05)ことから,マスク着用による最大VE の低下は呼吸抵抗の増加によって生じることが示唆された.運動継続時間はFMでCONよりも低値を示す傾向にあった(p=0.07),運動能力が低下する可能性が示唆された.一方で,VO2max にはマスクありなしで有意な差は見られなかった.布製マスクは,呼吸抵抗が低いながらも換気量を低下させ,運動能力を低下させる傾向にあるものの,有酸素能力には影響しないことが示唆された.

 「デサントスポーツ科学」 第44巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 小川剛司
大学・機関名 大阪教育大学

キーワード

マスク有酸素能力呼吸筋呼吸-