全身振動刺激トレーニングの神経生理学的効果の検証
【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.44 Vol.44】
要旨
全身振動刺激トレーニングは,アスリート,高齢者,中枢神経疾患患者のトレーニング法として広く用いられている.これまで全身振動刺激が,足関節の底屈筋であるヒラメ筋のH反射興奮性を強く抑制することが報告されてきたが,ヒラメ筋以外の他の筋への効果は不明であった.そこで,本研究では,全身振動刺激が大腿・下腿の屈筋・伸筋の単シナプス反射回路興奮性に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした.対象は,健常成人男性7名とし,実験条件は,全身振動刺激条件とコントロール条件であった.実験中,右下肢の筋から表面筋電位を測定した.全身振動刺激条件では,被検者の姿勢は立位とし,被検者の足底部へ1分間の振動刺激を付加し,介入中および介入前後における下肢4筋(前脛骨筋,ヒラメ筋,内側広筋,大腿二頭筋)のPosterior root muscle(PRM-) reflexを測定した.コントロール条件では,被検者の姿勢は,全身振動刺激条件と同一姿勢としたが,振動刺激は与えずにPRM-reflexの計測のみを実施した.実験の結果,全身振動刺激介入中において,介入前と比較して,前脛骨筋,ヒラメ筋,大腿二頭筋のPRM-reflexのピークピーク値が有意に低下した.この低下は,全身振動刺激介入後は認められなかった.また,コントロール条件では有意な差は認められなかった.この結果から,全身振動刺激は,ヒラメ筋以外の筋の単シナプス反射回路興奮性に対しても一時的な抑制効果を有することが明らかになった.
「デサントスポーツ科学」 第44巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
全身振動刺激トレーニングは,アスリート,高齢者,中枢神経疾患患者のトレーニング法として広く用いられている.これまで全身振動刺激が,足関節の底屈筋であるヒラメ筋のH反射興奮性を強く抑制することが報告されてきたが,ヒラメ筋以外の他の筋への効果は不明であった.そこで,本研究では,全身振動刺激が大腿・下腿の屈筋・伸筋の単シナプス反射回路興奮性に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした.対象は,健常成人男性7名とし,実験条件は,全身振動刺激条件とコントロール条件であった.実験中,右下肢の筋から表面筋電位を測定した.全身振動刺激条件では,被検者の姿勢は立位とし,被検者の足底部へ1分間の振動刺激を付加し,介入中および介入前後における下肢4筋(前脛骨筋,ヒラメ筋,内側広筋,大腿二頭筋)のPosterior root muscle(PRM-) reflexを測定した.コントロール条件では,被検者の姿勢は,全身振動刺激条件と同一姿勢としたが,振動刺激は与えずにPRM-reflexの計測のみを実施した.実験の結果,全身振動刺激介入中において,介入前と比較して,前脛骨筋,ヒラメ筋,大腿二頭筋のPRM-reflexのピークピーク値が有意に低下した.この低下は,全身振動刺激介入後は認められなかった.また,コントロール条件では有意な差は認められなかった.この結果から,全身振動刺激は,ヒラメ筋以外の筋の単シナプス反射回路興奮性に対しても一時的な抑制効果を有することが明らかになった.
「デサントスポーツ科学」 第44巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 | 一寸木洋平*1, Matija Milosevic*2, 猪股高志*1, 酒井美園*1 |
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大学・機関名 | *1 東京国際大学, *2 大阪大学 |
キーワード