信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF CPX に基づいた運動療法によるうつ病の個別化治療

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.44 Vol.44

 要旨

 うつ病の薬物療法,精神療法などが進歩し一定の効果を示してきている.しかし,無効な患者が多く存在し,日常生活や社会生活の障害を改善するためには未だ不十分であるため,実臨床では補完療法などの開発,改良が重要になってきている.本研究では,心肺運動負荷検査(Cardiopulmonary Exercise Test, CPX)の客観的な指標により運動量を明確化し,既報に比較して運動強度・時間・回数が大きく軽減化された運動プログラムのうつ病に対する有効性を検討することを目的とした.慢性または反復性うつ病患者8 名(うつ病6 名,持続性抑うつ障害2 名)を対象に8 週間の運動プログラムを行い,その前後に抑うつ症状,不安症状などの臨床評価を実施した.その結果,介入後に抑うつ症状が寛解に近い状態になり,状態不安および社会適応度の改善もみられた.少数の被験者ながら既報に比較して運動強度・時間・回数が大きく軽減化され,それでも効果が見られることから,これらの結果が今後大規模臨床試験において確認されれば,うつ病の補完療法の大きな進歩になると思われる.

 「デサントスポーツ科学」 第44巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 中川伸, 陳冲, 萩原康輔, 平田圭子, 藤井優子
大学・機関名 山口大学

キーワード

運動療法心肺運動負荷検査うつ病持続性抑うつ障害不安