信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 高強度運動後の筋血流・酸素化動態からみたクールダウンの効果: MRI を用いた検討

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.44 Vol.44

 要旨

 本研究の目的は,磁気共鳴画像法(MRI)を用いて非侵襲的に活動肢の血流を画像化し,運動後の血流回復を測定することである.健常成人男性20 名(21 ± 1 歳)を対象とし,動脈スピンラベリング(ASL)法により右前腕近位部の血流マップを作成した.被験者はMRIのガントリー内で最大強度のハンドグリップ運動を2 分間実施した.運動後の20 分間の回復期間を設けた.MRIでの撮像は運動前,収縮直後,運動20分後の計3回実施した.得られた画像を前腕全体,手関節屈筋群および伸筋群に分けてASLのシグナル強度を求め,2 次元の血流マップに時間の要因を合わせた3 次元(x, y-t)のデータを分析した.その結果,運動前の安静時と比較して前腕全体,手関節屈筋群および伸筋群の血流量,2 分間の最大強度のハンドグリップ運動直後にそれぞれ1.5±0.2倍,2.6±1.0 倍および2.0 ± 0.6 倍に増加した(それぞれp <0.05).20 分間の回復期により,屈筋群および伸筋群の血流量は安静時と同等の値まで回復した.尺骨の血流量は運動に伴う変化を認めなかった.運動前の安静時と比較して,橈骨の血流量はハンドグリップ運動直後に安静時と比べて低下し,20分後には逆に有意な増加を認めた(それぞれp <0.05).以上のことから,最大強度のハンドグリップ運動後の前腕の血流回復には不均一性が存在し,骨血流の増加と筋血流の回復が示された.

 「デサントスポーツ科学」 第44巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 堀田一樹*1, 児玉直樹*2, 森下慎一郎*3, 椿淳裕*2
大学・機関名 *1 北里大学, *2 新潟医療福祉大学, *3 福島県立医科大学

キーワード

磁気共鳴画像法動脈スピンラベリングハンドグリップ筋血流骨血流