信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 常温溶液の急速過冷却法を用いた身体内部冷却効果の検討

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.43 Vol.43

 要旨

 熱中症の予防には,脱水予防と身体冷却が重要である.近年,この脱水と身体冷却を同時に実現する画期的な手法として,アイススラリー摂取の効果が報告されている.しかし,アイススラリーは飲みにくさや用事調整の困難さなどの課題があり,現場での実装のためにはこの改善が求められる.本研究は,この実装に向けた取り組みとして,過冷却水の効果に注目し,実験的な検討を行った.また,屋外での長時間の活動を想定して,吸熱反応を利用した常温溶液を急速に冷やす手法の開発に合わせて取り組んだ.
 実験的な検討の結果,過冷却水の摂取による身体冷却効果はアイススラリーには及ばないものの,飲みやすさや効果の即時性,脱水予防効果が高い可能性などが明らかとなった.一方で,吸熱 反応を用いた常温溶液の冷却手法の開発は理論的な検討から課題が浮き彫りとなった.本研究の成果から新たな身体冷却ツールとしての過冷却水の可能性に期待が持たれる.

 「デサントスポーツ科学」 第43巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 柳田信也
大学・機関名 東京理科大学

キーワード

過冷却水アイススラリー吸熱反応熱中症予防暑熱環境