信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 運動によるマイトファジーの活性化に対するp62の役割

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.43 Vol.43

 要旨

 定期的な運動は,ミトコンドリアの品質を向上することで筋量の維持に貢献する.ミトコンドリアの品質は,不要なミトコンドリアを分解するマイトファジーを活性化することで維持することができる.オートファジー基質として知られているp62/SQSTM1 は,リン酸化することでユビキチン化した不要なミトコンドリアを認識し,オートファゴソームに移行させ分解するが,運動による骨格筋のマイトファジーの活性化に対するp62の役割について詳細に検討した報告は無い.そこで本研究では,運動によるマイトファジーの活性化に対するp62 やリン酸化p62 の役割の解明を目的とした.実験には,運動を負荷した筋特異的なp62欠損マウスと野生型同腹子マウスの骨格筋,筋特異的なp62発現増強マウスと野生型同腹 子マウスの骨格筋を使用し,マイトファジーに関連する複数のタンパクの発現とミトコンドリアの量に関連するタンパクの発現を評価した.その結果,運動はp62のリン酸化を誘導したが,筋特異的p62欠損マウスでは運動によるマイトファジー の活性化に影響は及ぼさなかった.また,筋特異的p62発現増強マウスは複数のマイトファジー関連因子の発現が有意に変動した.これらの結果は,骨格筋のp62はマイトファジーを制御するが,運動によるマイトファジーの活性化には関与しない 可能性を示唆している.

 「デサントスポーツ科学」 第43巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 山田麻未, 奥津光晴
大学・機関名 名古屋市立大学

キーワード

運動骨格筋ミトコンドリアオートファジーオートファジーアダプター