信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 肉離れは,なぜ筋全体ではなく局所的に生じるのか? -筋線維内におけるサルコメアの不均一な伸長に着目して-

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.43 Vol.43

 要旨

 筋線維の一部が断裂するという肉離れは,伸張性収縮によってあまり引き伸ばされていないサルコメアと過度に引き伸ばされたサルコメアが混在するようになるというsarcomere length nonuniformity と関連している可能性がある.しかしながらこのsarcomere length nonuniformity は実験的に観察されているわけではない.そこで本研究では,実際にサルコメア長を可視化することで,sarcomere length nonuniformity が実際に生じるかどうかを確認した.単一の筋線維を対象に,サルコメア長が不均一になると言われている伸張性収縮を行い,その後の等尺性収縮中の局面のサルコメア長の分布を,純粋な等尺性収縮中のサルコメア長の分布と比較した.その結果,従来のセオリーに反し,サルコメア長の分布は条件間で違いはみられなかった.この結果は,従来は考えられていなかった何かの機構が,サルコメア長を安定させていることを示唆している.結果的に,sarcomere length nonuniformity は,局所的に生じる肉離れを説明できないと考えられる.

 「デサントスポーツ科学」 第43巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 福谷充輝
大学・機関名 立命館大学

キーワード

骨格筋スキンドファイバーサルコメア伸張性収縮不均一