パラアスリートの使用器材の温度変化と身体に及ぼす影響
【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.43 Vol.43】
要旨
東京2020パラリンピック競技大会は22競技実施され,屋外競技はパラ陸上競技やパラトライアスロン等10競技であった.パラ陸上競技やパラトライアスロンのアスリートは競技中,レース用車いすやランニング用義足を使用している.しかし,レース用車いすやランニング用義足の暑熱環境下の温度変化に関する報告はない.われわれはレース用車いす使用者5名,義肢使用者3名に対して使用補装具とヘルメットの温湿度変化,深部体温を測定した.レース用車いすの温度変化の程度は車いすの部位により異なり,座シートおよびヘルメット内は高湿度になることが明らかになった.また,車いすマラソン時にアスリートの深部体温が著しく上昇した.
義肢着用選手のライナー内側は高湿度で皮膚トラブルの要因となる.また両大腿切断者の深部体温は片大腿切断者よりも上昇した.
パラアスリートの機能障害と残存機能はそれぞれ異なり,使用する機材は競技および種目によって異なるため,多面的な暑熱対策により暑熱環境下でも安全にかつ快適に競技可能となる.
「デサントスポーツ科学」 第43巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
東京2020パラリンピック競技大会は22競技実施され,屋外競技はパラ陸上競技やパラトライアスロン等10競技であった.パラ陸上競技やパラトライアスロンのアスリートは競技中,レース用車いすやランニング用義足を使用している.しかし,レース用車いすやランニング用義足の暑熱環境下の温度変化に関する報告はない.われわれはレース用車いす使用者5名,義肢使用者3名に対して使用補装具とヘルメットの温湿度変化,深部体温を測定した.レース用車いすの温度変化の程度は車いすの部位により異なり,座シートおよびヘルメット内は高湿度になることが明らかになった.また,車いすマラソン時にアスリートの深部体温が著しく上昇した.
義肢着用選手のライナー内側は高湿度で皮膚トラブルの要因となる.また両大腿切断者の深部体温は片大腿切断者よりも上昇した.
パラアスリートの機能障害と残存機能はそれぞれ異なり,使用する機材は競技および種目によって異なるため,多面的な暑熱対策により暑熱環境下でも安全にかつ快適に競技可能となる.
「デサントスポーツ科学」 第43巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 | 指宿立*1, 川崎真嗣*2, 上條義一郎*3 |
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大学・機関名 | *1 和歌山県立医科大学, *2 和歌山県立医科大学附属病院, *3 獨協医科大学 |
キーワード