信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 暑熱環境下の作業に用いる着心地に配慮した冷却フィールドウエアの開発

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.43 Vol.43

 要旨

 我々は,農業ハウスでの利用を想定した冷却服の開発に取り組んでいる.本研究では,人工気候室内にWBGTが31℃の暑熱環境下を再現し,6名の被験者に4つの着衣条件で30分間の模擬的な農作業を行わせ,冷却服が衣服内気候や体温等の生体信号,作業負担などの主観評価に及ぼす影響を検討した.その結果,以下の結論を得た.(1) 鼓膜温は,標準的な着衣,保冷剤を用いた冷却服では30分の作業で0.2℃程度上昇したが,ファン付き作業服ではほとんど上昇がみられず,体温上昇を抑える傾向があることがわかった.(2) ファン付き作業服では,他の着衣よりも衣服内温度,衣服内湿度ともに低く抑えられることがわかった.(3) 「温冷感」,「湿潤感」の評価結果より,ファン付き作業服は他の着衣に比べ暑さ感,湿潤感ともに低いと評価されることがわかった.人工気候室で環境条件を詳細に制御することで,鼓膜温等の詳細なバイタルサインが得られ,衣服条件の違いが農作業の負担に及ぼす影響を評価する実験系が構築できた.

 「デサントスポーツ科学」 第43巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 松岡敏生*1, 大西範和*2, 増田智恵*3
大学・機関名 *1 三重県工業研究所, *2 三重県立看護大学, *3 椙山女学園大学

キーワード

衣服内気候鼓膜温官能評価WBGT農作業