信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 機能性ウェアへの水分散布による蒸発性熱放散促進および紫外線散乱による温熱的快適性向上

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.42 Vol.42

 要旨

 暑熱環境下における過度な体温上昇に対する最も効果的な対策は全身冷却であるが,過度に体温が上昇しないように予測し,予防することが重要である.温度感覚や温熱的快適性がその予測のための判断基準となる.温熱的快適性は,核心温度のレベルによっても変化するが,皮膚の温度受容体からの情報によって左右される.また,温度感覚は,環境条件や生体反応によって皮膚表面のコンディションが変化することでも変化することが考えられる.つまり,温熱的快適性は,紫外線の照射量や,発汗による蒸発的熱放散量によって影響される可能性は高い.そこで本研究ではウェアを利用して皮膚表面のコンディションの改良を試みた.実験室実験では,人工太陽光を用いて紫外線照射による温度感覚の変化とウェアによる保護作用を検討した.また,実践的研究として,機能性インナーは消費者によって様々な使われ方に転じていることに着目し,放湿性の高さを利用し,マイクロミストを噴霧することによる蒸散性熱放散効果を検討した.並行して大学生アスリート含む大学生へ熱中症に対する意識調査と対処方法についてアンケート調査した.温度感覚は人工太陽光照射によって翌日敏感になったが,UVカットウェア着用によって影響を受けなかった.コンプレッショウェアへのマイクロミスト噴霧は熱放散を促進し,快適な暑熱環境下でのスポーツ観戦を可能にすることが示された.

 「デサントスポーツ科学」 第42巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 芝﨑学, 久保博子, 難波真理
大学・機関名 奈良女子大学

キーワード

機能性ウェアマイクロミスト体温調節紫外線熱中症