合成繊維の製造方法において、最も基礎となるプロセスが紡糸および延伸工程である。本研究室では、複合繊維用紡糸機を利用して、芯鞘型複合繊維、海島繊維などの様々な複合繊維を製造し、また紡糸線上および延伸過程中において複合繊維の繊維構造形成過程を究明して、繊維の使える分野を医療、交通などに広げることを目指して研究を進めている。これまでの研究によって、合成繊維の基本単位は直径数nmの“ミクロフィブリル”であることが知られている。したがって、複合繊維内部に存在する繊維の直径がこのサイズに近くなると、繊維構造形成過程に大きな変化が起き、結果として通常の繊維では得られない高性能な繊維が得られる可能性がある。このような研究は大きな産業応用が見通せる創造的な研究開発になると考えて研究を進めている。
信州大学繊維学部 研究紹介2020/信州大学繊維学部