信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 糖化ストレスは運動抵抗性因子として働くか

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.41 Vol.41

 要旨

 本研究では,運動トレーニング効果を妨げる運動抵抗性因子として糖化ストレスが機能するか明らかにするために,糖化ストレスを負荷させたマウスに持久性トレーニングを実施し,糖代謝やミトコンドリア機能を制御する分子の発現変化について検討した.また,ヒトにおいて筋力トレーニングを実施し,糖化ストレス状態と筋力変化との関係性について検討した.4週間の自発走運動により,マウス足底筋のGLUT4およびPGC1α, HSP72のタンパク質発現が増加した.一方,この増加は糖化ストレスを誘導するmethylglyoxal を投与したマウスでは抑制された.また,健常男性において糖化ストレス高値群は低値群に比べて脚筋力が低値であった.しかし,12週間の筋力トレーニングによる筋力増強効果に2群で差はなかった.以上の結果から,糖化ストレスは持久性トレーニングによる骨格筋適応を抑制する可能性が明らかになった.一方,筋力トレーニングによる筋力増強効果には影響しないことが明らかになった.

 「デサントスポーツ科学」 第41巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 江川達郎*1,藤林真美*2,伊藤理香*3,後藤勝正*4,林達也*5
大学・機関名 *1*5 京都大学大学院,*2 摂南大学,*3*4 豊橋創造大学大学院

キーワード

糖化ストレス運動抵抗性GLUT4PGC1αメチルグリオキサール