信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 暑熱環境下における熱中症予防のためのクーリング方策に関する研究

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.41 Vol.41

 要旨

 暑熱下における簡便で実用的なクーリング方策を提案することを目的として,本研究では,透湿防水布を側地として,中綿に高吸収素材を用いた冷却ベストを作製し,衣服内温湿度および生理反応に及ぼす影響を検討した.冷却ベストの上にファン付きウェア (着衣TVA) を着用したとき,発汗量はほとんど確認されなかったが,皮膚温および衣服内温度が低下した.これらの結果は,高吸水素材から透湿防水布を通して水蒸気が放出し,ファンによって蒸発が促進されたことによるものであり,主観評価においても涼しくて快適であると評価された.一方,高吸水素材から発生した水蒸気のため,衣服内湿度は高くなったが,これによる湿潤感の低下はみられなかった.以上のことから,ファン付きウェアに冷却ベストを併用する方法は,汗に頼らない潜熱放散が可能となり,簡便で効率的なクーリング方策であることがわかった.

 「デサントスポーツ科学」 第41巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 諸岡晴美*1,坂下理穂*2,加藤礼菜*3,中橋美幸*4
大学・機関名 *1 京都女子大学,*2*3 京都女子大学大学院,*4 富山県産業技術研究開発センター

キーワード

暑熱環境クーリング冷却ベスト熱中症発汗量