競泳中の泳者の肺気量推定法の開発
【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.41 Vol.41】
要旨
本研究は,競泳中の肺気量の推定法の開発を目的とし,モーションキャプチャデータから呼吸運動を表現するデジタルヒューマンモデルの開発に取り組んだ.競泳選手を対象に,立位姿勢における呼吸テストおよび牽引クロール泳を行わせた.その際,呼吸流量データと体幹部のマーカーデータを同期計測した.呼吸運動表現モデルは,3Dスキャナで取得した身体形状データを基に,体幹部の各マーカーに対応するようにリンクセグメントを配置して作成した.呼吸流量データから算出した肺気量を真値とし,呼吸運動表現モデルから推定した肺気量の妥当性を級内相関分析より評価した.呼吸テストとして実施した立位姿勢における安静呼吸 (ICC = 0.981),努力性肺活量 (ICC = 0.995),最大随意換気量 (ICC = 0.972) は,いずれも算出方法間で非常に高い一致性が確認された(P < 0.001).一方,競泳中では高い一致性 (ICC = 0.717,P < 0.001) が認められたものの,呼吸テストと比較して,級内相関係数は低値を示した.以上より,本研究で開発した肺気量推定法は,立位呼吸時には非常に高い精度で算出可能であったが,競泳中に応用するには,さらなる改善の必要性が示唆された.
「デサントスポーツ科学」 第41巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
本研究は,競泳中の肺気量の推定法の開発を目的とし,モーションキャプチャデータから呼吸運動を表現するデジタルヒューマンモデルの開発に取り組んだ.競泳選手を対象に,立位姿勢における呼吸テストおよび牽引クロール泳を行わせた.その際,呼吸流量データと体幹部のマーカーデータを同期計測した.呼吸運動表現モデルは,3Dスキャナで取得した身体形状データを基に,体幹部の各マーカーに対応するようにリンクセグメントを配置して作成した.呼吸流量データから算出した肺気量を真値とし,呼吸運動表現モデルから推定した肺気量の妥当性を級内相関分析より評価した.呼吸テストとして実施した立位姿勢における安静呼吸 (ICC = 0.981),努力性肺活量 (ICC = 0.995),最大随意換気量 (ICC = 0.972) は,いずれも算出方法間で非常に高い一致性が確認された(P < 0.001).一方,競泳中では高い一致性 (ICC = 0.717,P < 0.001) が認められたものの,呼吸テストと比較して,級内相関係数は低値を示した.以上より,本研究で開発した肺気量推定法は,立位呼吸時には非常に高い精度で算出可能であったが,競泳中に応用するには,さらなる改善の必要性が示唆された.
「デサントスポーツ科学」 第41巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 | 鷲野壮平*1,村井昭彦*2,荻田太*3,萬久博敏*4,吉武康栄*5 |
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大学・機関名 | *1*2 産業技術総合研究所,*3*4 鹿屋体育大学,*5 信州大学 |
キーワード