信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 低酸素環境における呼吸筋トレーニングによる持久的パフォーマンスへの影響

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.41 Vol.41

 要旨

 本研究では,低酸素環境における呼吸筋トレーニングによる持久的パフォーマンスに及ぼす影響を明らかにすることを目的とした.大学生長距離ランナーを,コントロール群,常酸素群,低酸素群に振り分けた.6週間の呼吸筋の持久力トレーニング前後に,呼吸筋持久力テスト (安静時) および運動テストを実施した.運動テストにはトレッドミルによる高強度運動 (95%最高酸素摂取量) を用いた.トレーニングには随意過換気法を用いた (30分/日,4~5日/週) :最大随意換気量の50%を初期値に設定し,その後は徐々に増加させた.低酸素群では,1~2週目はトレーニング時の動脈血酸素飽和度を90%に,3週目以降は80%に設定した.呼吸筋持久力および運動テストによる疲労困憊にいたるまでの時間は,いずれの群もトレーニング後に有意な増加が見られたが,それらの増加の程度には両群間で差は認められなかった.これらの結果から,呼吸筋の持久的トレーニングにより全身持久的パフォーマンスの向上が認められ,この向上には呼吸筋持久力の改善が貢献していることが示唆される.しかしながら,低酸素環境において呼吸筋トレーニングを実施しても,全身持久的運動パフォーマンスへのさらなる効果はないことが示された.

 「デサントスポーツ科学」 第41巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 片山敬章*1, 石田浩司*2,後藤一成*3
大学・機関名 *1*2 名古屋大学,*3 立命館大学

キーワード

低酸素呼吸筋持久性パフォーマンス呼吸困難感トレーニング