信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 閉経後の骨格筋における水分代謝とサルコペニア:運動の予防効果の分子メカニズム

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.41 Vol.41

 要旨

 本研究では,エストロゲン分泌が低下した状態での運動トレーニングが骨格筋のAQP4とNKCC1に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした.10週齢雌ラットを偽処置群,偽処置運動群,卵巣摘出群,卵巣摘出運動群,卵巣摘出+エストロゲン投与群,卵巣摘出+エストロゲン投与運動群の6群に群分け,卵巣摘出60日後からトレーニングおよび投与後を実施した.8週間後,長母趾屈筋を摘出し,ウェスタンブロット法でAQP4とNKCC1のタンパク質を検出した.トレーニングによって偽処置運動群では長母趾屈筋の湿重量に有意な増加が認められたが,卵巣摘出運動群では認められなかった.一方,エストロゲンを投与してトレーニングを行った卵巣摘出+エストロゲン投与運動群では有意な増加が認められた.エストロゲン状態およびトレーニングによって骨格筋のAQP4とNKCC1タンパク質発現量に影響が生じる可能性が示唆されたが,有意な変化は認められなかった.本研究の成果より,エストロゲン状態によって運動性筋肥大への影響が異なることが示されたが,骨格筋のAQP4とNKCC1タンパク質の関与は少ない可能性が示唆された.

 「デサントスポーツ科学」 第41巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 洪永豊*1,石道峰典*2,町田修一*3
大学・機関名 *1*3 順天堂大学,*2 大阪工業大学

キーワード

卵巣摘出エストロゲンアクアポリン4Na-K-Cl共輸送体レジスタンス訓練