信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 飢餓ストレスによるオートファジーを利用した骨格筋量の維持・増進策

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.41 Vol.41

 要旨

 本研究では,グルコース飢餓による骨格筋細胞のタンパク質分解の亢進が,その後のグルコース再補充によるタンパク質合成の促進に及ぼす影響を検討した.分化4日目のC2C12筋管細胞をグルコース不含の分化誘導培地で24時間培養した (NG群).通常の分化誘導培地 (グルコース濃度:25.0 mM) で培養する群をコントロールとした(HG群).24時間のグルコース飢餓により,タンパク質合成促進作用の指標となるp70 S6 kinaseのリン酸化は有意に低下した.次に,両群にグルコースを添加し (NG群の最終濃度5.5 mM),30分後に細胞を回収すると,HG群に比してNG群でp70 S6 kinaseのリン酸化が大きく増加した.オートファジー阻害剤存在下では,グルコースの再補充効果が一部抑制された.一方,プロテアソーム阻害を行ってもグルコースの再補充効果に影響を及ぼさなかった.以上の結果より,C2C12筋管細胞に対する24時間のグルコース飢餓ストレスは,オートファジーを活性化し,その後のグルコース再補充に対してタンパク質合成シグナルの感受性を高めることが明らかとなった.

 「デサントスポーツ科学」 第41巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 中井直也
大学・機関名 滋賀県立大学

キーワード

グルコース飢餓C2C12筋管細胞タンパク質合成オートファジーグルコース再補充