信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF コリジョンスポーツにおける至適な頸部周囲筋力と頸椎アライメントの解明:重症頭頸部外傷を予防するために

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.41 Vol.41

 要旨

 コリジョンスポーツ選手においては頸椎の退行変性をきたすことがあり,変性が進行すると頚髄損傷などの重大事故につながる危険性も示唆されている.頸椎退行変性とくにアライメント異常には頸部周囲筋力バランスが関与していることも報告されている.コリジョンスポーツ選手の頸椎退行変性予防さらには重症頸椎頚髄損傷予防を目的とし,頸部屈曲・伸展筋力バランスの異常が頸椎退行変性やアライメント異常に関与していると仮説のもと柔道選手及びラグビー選手の頸部周囲筋力と頸椎レントゲンの関連を解析した.対象はメディカルチェック時に頸部周囲筋力測定を実施した柔道選手168名 (22-32歳),ラグビー選手203名 (18-30歳) であり,このうち頸椎レントゲン検査を受けたのは柔道群55名,ラグビー群58名であった.身長・体重・頸部屈曲筋力・伸展筋力および屈曲/伸展筋力比とも柔道群が有意に大きかったが,体重比は両群間に有意差はなかった.頸椎アライメントにおいては正常群と前弯消失群,後弯変形群の筋力測定値に関連は認めなかったが柔道群においてS状変形群の伸展筋力が有意に大きかった (正常群:331.7±48.4N,S状変形群:20±50.2N.p<0.05).屈曲/伸展筋力比では柔道群の前弯消失群 (0.67),後弯変形群 (0.63),およびラグビー群の椎間腔狭小化有り群 (0.54) において正常群 (柔道:0.78, ラグビー:0.68) と比較し有意に低下していた (p<0.05).屈曲/伸展筋力比ひいては相対的な屈曲筋力の低下が柔道におけるアライメント異常およびラグビーにおける椎間腔狭小化に関与している可能性が示唆された.

 「デサントスポーツ科学」 第41巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 田島卓也,山口奈美,黒木修司,森田雄大,帖佐悦男
大学・機関名 宮崎大学

キーワード

コリジョンスポーツ頭頸部外傷頚部周囲筋力頸椎アライメント頸椎退行変性