異所性脂肪由来のアディポカインが運動による動脈硬化度低下に及ぼす影響
【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.41 Vol.41】
要旨
加齢に伴う異所性脂肪の蓄積は動脈硬化度を増大させるが,有酸素性トレーニングによりそのリスクは低下する.近年,血管拡張作用を有するアディポカインであるC1q/TNF related protein 5 (CTRP5)が同定された.有酸素性トレーニングにより体脂肪の低下とともに血中CTRP5濃度が増加するが,運動により異所性脂肪組織のCTRP5遺伝子発現が増加するかは明らかでない.【目的】本研究は老齢マウスの有酸素性トレーニングによる異所性脂肪でのCTRP5遺伝子発現が増加するかを検討した.【方法】38週齢のSAMP1マウスを有酸素性トレーニング群および安静対照群に分け,12週間後に精巣上体脂肪,大動脈血管周囲脂肪,肩甲下皮下脂肪,肩甲下褐色脂肪を摘出し,CTRP5 mRNA 発現量を測定した.また,動脈血管の血管拡張能を測定した.【結果】有酸素性トレーニングにより,動脈血管における血管拡張能は改善したが,CTRP5 mRNA 発現量はいずれの脂肪組織においても有意な変化は認められなかった.【結論】有酸素性トレーニングによるCTRP5遺伝子発現量の増加は,精巣上体脂肪,大動脈血管周囲脂肪,肩甲下皮下脂肪,肩甲下褐色脂肪以外の組織で生じている可能性が示唆された.
「デサントスポーツ科学」 第41巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
加齢に伴う異所性脂肪の蓄積は動脈硬化度を増大させるが,有酸素性トレーニングによりそのリスクは低下する.近年,血管拡張作用を有するアディポカインであるC1q/TNF related protein 5 (CTRP5)が同定された.有酸素性トレーニングにより体脂肪の低下とともに血中CTRP5濃度が増加するが,運動により異所性脂肪組織のCTRP5遺伝子発現が増加するかは明らかでない.【目的】本研究は老齢マウスの有酸素性トレーニングによる異所性脂肪でのCTRP5遺伝子発現が増加するかを検討した.【方法】38週齢のSAMP1マウスを有酸素性トレーニング群および安静対照群に分け,12週間後に精巣上体脂肪,大動脈血管周囲脂肪,肩甲下皮下脂肪,肩甲下褐色脂肪を摘出し,CTRP5 mRNA 発現量を測定した.また,動脈血管の血管拡張能を測定した.【結果】有酸素性トレーニングにより,動脈血管における血管拡張能は改善したが,CTRP5 mRNA 発現量はいずれの脂肪組織においても有意な変化は認められなかった.【結論】有酸素性トレーニングによるCTRP5遺伝子発現量の増加は,精巣上体脂肪,大動脈血管周囲脂肪,肩甲下皮下脂肪,肩甲下褐色脂肪以外の組織で生じている可能性が示唆された.
「デサントスポーツ科学」 第41巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 | 長谷川夏輝,家光素行,内田昌孝,堀居直希,外山雄大 |
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大学・機関名 | 立命館大学 |
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