確率共鳴現象を応用した体性感覚情報付加による把持調整機能の促進
【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.41 Vol.41】
要旨
手指の把持運動を適切に調整する能力(把持力調整能力)は,箸の取り扱いやコップの把持などの日常生活のあらゆる場面において用いられる.そのため,把持力調整能力を向上させる新たなトレーニング法を開発することは,リハビリテーションや高齢者,小児に対する運動制御能力の向上に対して役立つものである.本研究では,確率共鳴が筋収縮の制御能力の向上に結び付くのかを明らかにするため,感覚閾値以下の電気刺激のノイズ付加によって,把持機能が向上するのかを検討した.把持力調整能力を定量的に評価するデバイス(iWakka)を用いて,モニタ上に提示される目標値に対して右手の把持力を正確に合わせる運動課題を行った.練習試行を行った後,感覚閾値以下(感覚閾値の0.9倍)の電気刺激のノイズを正中神経に提示する試行(ON 試行)と電気刺激がない試行(OFF 試行)間で把持力と目標値との力の誤差を比較した.ON 試行ではOFF 試行と比較して,短縮性収縮と等尺性収縮時には目標値と把持力の絶対誤差が有意に低い値を示した.ON 試行時に提示された感覚閾値以下の電気刺激は,脊髄や大脳の感覚運動領域を活性化させ,その影響が把持の制御能力を向上させたと考えられる.以上のことから確率共鳴を感覚運動能力の向上に対して適用できることが明らかとなった.
「デサントスポーツ科学」 第41巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
手指の把持運動を適切に調整する能力(把持力調整能力)は,箸の取り扱いやコップの把持などの日常生活のあらゆる場面において用いられる.そのため,把持力調整能力を向上させる新たなトレーニング法を開発することは,リハビリテーションや高齢者,小児に対する運動制御能力の向上に対して役立つものである.本研究では,確率共鳴が筋収縮の制御能力の向上に結び付くのかを明らかにするため,感覚閾値以下の電気刺激のノイズ付加によって,把持機能が向上するのかを検討した.把持力調整能力を定量的に評価するデバイス(iWakka)を用いて,モニタ上に提示される目標値に対して右手の把持力を正確に合わせる運動課題を行った.練習試行を行った後,感覚閾値以下(感覚閾値の0.9倍)の電気刺激のノイズを正中神経に提示する試行(ON 試行)と電気刺激がない試行(OFF 試行)間で把持力と目標値との力の誤差を比較した.ON 試行ではOFF 試行と比較して,短縮性収縮と等尺性収縮時には目標値と把持力の絶対誤差が有意に低い値を示した.ON 試行時に提示された感覚閾値以下の電気刺激は,脊髄や大脳の感覚運動領域を活性化させ,その影響が把持の制御能力を向上させたと考えられる.以上のことから確率共鳴を感覚運動能力の向上に対して適用できることが明らかとなった.
「デサントスポーツ科学」 第41巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 | 和坂俊昭 |
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大学・機関名 | 名古屋工業大学 |
キーワード