サルコペニア治療を目的としたレジスタンス運動と乳清たんぱく質の栄養摂取タイミングの有用性 -栄養療法と運動療法のランダム化比較介入試験の検証-
【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.41 Vol.41】
要旨
本研究はレジスタンス運動直後の乳清たんぱく質の摂取がサルコペニアを有する高齢者の筋肉量や身体機能に与える影響を24週間の無作為化パイロット試験で検証した.サルコペニアに該当する高齢者を3群に割り当てた:レジスタンス運動+ 乳清たんぱく質摂取群,レジスタンス運動群,乳清たんぱく質摂取群.なお群分けは年齢や性別で層別化ランダム化し,各群均等に割り付けた.サルコペニアの判定はAsian Working Group for Sarcopenia の診断基準に基づき握力または歩行速度の低下,かつ四肢骨格筋量指数の低下ありとした.週2回のレジスタンス運動実施直後にたんぱく質が11.0g,ロイシンが2,300㎎含まれた乳清たんぱく質サプリメントを摂取するよう求めた.介入期間中は各群ともに少なくとも総エネルギー摂取量が30kcal/kg 標準体重/ 日,総たんぱく質摂取量が1.2g/kg 標準体重/ 日以上摂取できるよう食事管理を行った.介入後,全ての群で四肢の骨格筋量指数が有意に増加した(3群共にp<0.05).介入後,レジスタンス運動+ 乳清たんぱく質摂取群とレジスタンス運動群の膝伸展筋力は有意に増加した(レジスタンス運動+ 乳清たんぱく質摂取群とレジスタンス運動群:p<0.05).しかし,レジスタンス運動群と比べ,レジスタンス運動+ 乳清たんぱく質摂取群の四肢の骨格筋量指数と膝伸展筋力の増加率に有意な差はなかった.本研究ではレジスタンス運動後に摂取する乳清たんぱく質の併用介入を行ったが,高齢者のサルコペニア治療を目的とした更なる改善効果が得られなかった.
「デサントスポーツ科学」 第41巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
本研究はレジスタンス運動直後の乳清たんぱく質の摂取がサルコペニアを有する高齢者の筋肉量や身体機能に与える影響を24週間の無作為化パイロット試験で検証した.サルコペニアに該当する高齢者を3群に割り当てた:レジスタンス運動+ 乳清たんぱく質摂取群,レジスタンス運動群,乳清たんぱく質摂取群.なお群分けは年齢や性別で層別化ランダム化し,各群均等に割り付けた.サルコペニアの判定はAsian Working Group for Sarcopenia の診断基準に基づき握力または歩行速度の低下,かつ四肢骨格筋量指数の低下ありとした.週2回のレジスタンス運動実施直後にたんぱく質が11.0g,ロイシンが2,300㎎含まれた乳清たんぱく質サプリメントを摂取するよう求めた.介入期間中は各群ともに少なくとも総エネルギー摂取量が30kcal/kg 標準体重/ 日,総たんぱく質摂取量が1.2g/kg 標準体重/ 日以上摂取できるよう食事管理を行った.介入後,全ての群で四肢の骨格筋量指数が有意に増加した(3群共にp<0.05).介入後,レジスタンス運動+ 乳清たんぱく質摂取群とレジスタンス運動群の膝伸展筋力は有意に増加した(レジスタンス運動+ 乳清たんぱく質摂取群とレジスタンス運動群:p<0.05).しかし,レジスタンス運動群と比べ,レジスタンス運動+ 乳清たんぱく質摂取群の四肢の骨格筋量指数と膝伸展筋力の増加率に有意な差はなかった.本研究ではレジスタンス運動後に摂取する乳清たんぱく質の併用介入を行ったが,高齢者のサルコペニア治療を目的とした更なる改善効果が得られなかった.
「デサントスポーツ科学」 第41巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 | 森博康*1,平尾智洋*2,森本和幸*3,徳田泰伸*4,松久宗英*5 |
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大学・機関名 | *1*5 徳島大学,*2 JAみのり,*3 よつば探し南山,*4 兵庫大学 |
キーワード