なぜ運動による覚醒レベルの上昇は認知パフォーマンスを高めるのか?
【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.41 Vol.41】
要旨
本研究の目的は,運動による覚醒レベルの上昇が認知パフォーマンスを向上させるメカニズム解明のために,運動による覚醒レベルの向上に関わる脳領域を同定すること,脳領域間の機能的結合の変化が覚醒レベルの変化に関与するかを明らかにすることであった.18名の実験参加者は,最高酸素摂取量の40% の運動強度での運動前後,および安静の前後に認知課題を行い,fMRI を用いて脳活動を撮像した.運動後に覚醒レベルは上昇し,認知パフォーマンスは向上した.運動による覚醒レベルの変化は,準備刺激に対する左下前頭回,右前頭極,および右背側帯状回皮質の活動増加と関係がみられた.さらに,覚醒レベルの変化は,これらの領域間での機能的結合の増加を伴っていた.本研究から,運動による覚醒レベルの上昇には,前頭前野,前頭極,帯状回皮質の領域間の神経ネットワークが関与し,この領域間のネットワークが高まることが認知パフォーマンスの向上に貢献することが示唆された.
「デサントスポーツ科学」 第41巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
本研究の目的は,運動による覚醒レベルの上昇が認知パフォーマンスを向上させるメカニズム解明のために,運動による覚醒レベルの向上に関わる脳領域を同定すること,脳領域間の機能的結合の変化が覚醒レベルの変化に関与するかを明らかにすることであった.18名の実験参加者は,最高酸素摂取量の40% の運動強度での運動前後,および安静の前後に認知課題を行い,fMRI を用いて脳活動を撮像した.運動後に覚醒レベルは上昇し,認知パフォーマンスは向上した.運動による覚醒レベルの変化は,準備刺激に対する左下前頭回,右前頭極,および右背側帯状回皮質の活動増加と関係がみられた.さらに,覚醒レベルの変化は,これらの領域間での機能的結合の増加を伴っていた.本研究から,運動による覚醒レベルの上昇には,前頭前野,前頭極,帯状回皮質の領域間の神経ネットワークが関与し,この領域間のネットワークが高まることが認知パフォーマンスの向上に貢献することが示唆された.
「デサントスポーツ科学」 第41巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 | 安藤創一 |
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大学・機関名 | 電気通信大学 |
キーワード