信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 糖質制限食が消化管及び骨格筋機能に及ぼす影響の解明 - 回復期の糖・タンパク質合成に着目して -

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.40 Vol.40

 要旨

糖質制限食の摂取は小腸での糖質吸収速度を低下させる可能性が示唆されている.この適応は,運動後に素早く筋グリコーゲンを回復させるには不利に働く可能性が考えられる.本研究では,糖質制限食に適応したマウスの運動後の筋グリコーゲン回復とタンパク質合成について検討を行った.若年C57BL/6 雄性マウスに対して6 週間の運動トレーニングを負荷した後,CONTROL(CON)群と低糖質(Low carbohydrate: LC)群に分けた.各群のマウスは,さらに2 週間のトレーニングを実施しながらCON 食とLC 食を摂取した.飼育期間終了後,30 分のトレッドミルによる運動負荷を行い,運動終了直後にグルコース溶液(2 g/kg 体重)を摂取させ,2 時間後に前脛骨筋と小腸を摘出した.筋グリコーゲンと小腸のSGLT1(ナトリウム依存性グルコース輸送体)タンパク量は,CON 群においてLC 群と比較して有意に高値を示した.一方,タンパク質合成の指標であるp70S6K のリン酸化量は両群間で有意な差は認められなかった.以上から,2 週間の糖質制限食を摂取した場合,運動後の筋グリコーゲン回復が抑制される可能性が示唆された.

 「デサントスポーツ科学」 第40巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 東田一彦
大学・機関名 滋賀県立大学

キーワード

筋グリコーゲンSGLT1タンパク質合成糖質制限食小腸