信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 筋の萎縮を検出する新たな尿中バイオマーカーとしてのコネクチンの役割の解明

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.40 Vol.40

 要旨

筋損傷や筋萎縮を同定する新規バイオマーカーを血中並びに尿中から同定する研究が数多く行われているが明らかな相関が認められたという報告は少ない.近年,筋ジストロフィー患者や健常人の持久運動において,筋肉の弾力性と伸展性に関与する巨大サルコメアタンパク質・タイチン(コネクチン)が尿中で検出可能であると報告された.そこで,本研究では既報の筋損傷ではなく,筋萎縮の際に尿中タイチンレベルが変化するかどうか,その変化が筋萎縮を反映するか否かを検討した.10 週齢雄C57BL/6 マウスに対して坐骨神経切除術を行い筋萎縮誘導後,経日的に採尿を行った.我々は,高感度のELISA システムを用いて,タイチンの尿中濃度を測定した.術後の11 日目に四肢筋の摘出・重量測定を行った.残念なことに,骨格筋重量は大きく減少し,筋萎縮のマーカーであるAtrogin-1 およびMuRF-1 のmRNA レベルは増加したが,尿中のタイチンレベルは変化しなかった.これらの結果は,筋萎縮の程度を尿中タイチンレベルで同定することは困難であることを示唆している.

 「デサントスポーツ科学」 第40巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 谷端淳, 南沢享, 寺田昌弘
大学・機関名 東京慈恵会医科大学

キーワード

タイチン筋萎縮ミトコンドリアトロポニン複合体除神経