信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF トレーニング期前後のスプリントパフォーマンス向上に伴う筋の形態的特徴の変化

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.40 Vol.40

 要旨

本研究は,体幹部および下肢筋群の筋横断面積の変化を検討することで,スプリント能力の変化と筋の形態的特徴の対応を明らかにすることを目的とした.被検者は大学男子陸上競技短距離およびハードル選手12 名(年齢20.4±0.5 歳,身長172.3±4.5cm,体重64.7±5.9kg)とした.トレーニング期の前後において,核磁気共鳴画像法(MRI法)を用いて,体幹および下肢の横断画像を撮像し,それらの画像から各筋の筋横断面積を算出した.加えて,被検者には陸上競技実験場においてスパイクを着用させたうえで,60m の全力走を2 本行わせた.トレーニング期の前後で,疾走速度が向上した被検者をV+ 群,減少した被検者をV- 群に振り分け,両群の筋横断面積の変化からスプリント能力に関与する骨格筋を探索することとした.その結果,最大疾走速度と13 筋(外側腹筋群,大腰筋,脊柱起立筋,大臀筋,中・小臀筋,外側広筋,中間広筋,内側広筋,縫工筋,大腿二頭筋,半腱様筋,半膜様筋および薄筋)との間に有意な相関関係が認められた一方,トレーニング期前後の大腰筋,脊柱起立筋,大臀筋および半腱様筋の変化量のみ,V+ 群とV- 群で有意な差が認められた.以上のことから,大腰筋,脊柱起立筋,大臀筋および半腱様筋がスプリント能力に重要な役割を持つことが示唆された.

 「デサントスポーツ科学」 第40巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 吉本隆哉, 高橋英幸*1, 杉崎範英*2, 千葉佳裕*3
大学・機関名 *1国立スポーツ科学センター、*2明治学院大学, *3城西大学

キーワード

100m走最高疾走速度大臀筋大腰筋ハムストリングス