信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF リラックスを習得するトレーニングの開発

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.40 Vol.40

 要旨

 ある筋をリラックス(弛緩)すると,同時に持続収縮を行う他筋の力が一時的に弱まることが知られている.また,経頭蓋直流電気刺激法(transcranial direct current stimulation; 以下,tDCS)を用いてトレーニングを行うと,その学習効果が促進することも知られている.本研究では,リラックス動作の学習が,tDCS を用いた一次運動野への刺激により促進するか否かを検討した.健常な成人30 名は,陽極刺激群(10名),陰極刺激群(10 名),刺激なし群(10 名)に分けられた.右手指筋を50 maximal voluntarycontraction (MVC)にて持続収縮した状態で,同時に右肩内転筋を50% MVC にて持続収縮し,音合図をもとに右肩内転筋のみを弛緩する課題を30 回行った.この課題を各群ともに連続しない3 日にわたって行い,刺激あり群では,課題中に一次運動野上にtDCS 刺激した.解析では,肩関節筋の弛緩が指関節筋の持続収縮に及ぼす影響の変化を検証した.その結果,各群ともに,肩関節筋の弛緩により,維持していた指関節屈曲力は有意に低下した.しかしながら,3 日間のトレーニングによるその影響の変化は認められなかった.また,陽極刺激および陰極刺激群においても同様に影響の変化は認められなかった.一次運動野へのtDCS を行っても,筋弛緩に関わるトレーニングに影響を及ぼさなかったことから,筋弛緩の学習メカニズムは収縮とは異なる可能性が示唆された.

 「デサントスポーツ科学」 第40巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 加藤孝基*1, 堤幸治*2
大学・機関名 早稲田大学

キーワード

運動抑制運動学習経頭蓋磁気刺激法経頭蓋直流電気刺激法筋弛緩