マスターズスイマーにおける肩関節周囲筋の損傷や石灰沈着が生じる身体的・動作的特徴の解明とその予防に向けた取り組み
【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.39 Vol.39】
要旨
本研究は,マスターズスイマーを対象に,超音波画像診断機器や徒手検査,水泳暦や泳法などの質問項目から,上腕二頭筋や肩甲下筋の水腫や石灰などの有症率を明らかにし,これらが生じる要因について検討を行った.超音波画像診断機器を用いた評価から,マスターズスイマーは先行研究で報告されているよりもかなり多くの肩周囲の異常所見が見つかった.これは痛みを有している症候肩ではもちろんだが,痛みを有していない無症候肩においても高い値を示した.一方,これらの異常所見と,その所見を有している筋への疼痛誘発テストには,統計学的な有意な関係は認められなかった.これらの結果より,水泳は肩の内旋や屈曲などの動作が繰り返されるため,水泳を行っていない中高齢者よりもメカニカルストレスが生じやすく,水腫や石灰が生じやすいことが示唆された.しかし,これらの所見が必ずしも痛みに直結しているわけではないため,今後も更なる研究が必要である.
「デサントスポーツ科学」第39巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
本研究は,マスターズスイマーを対象に,超音波画像診断機器や徒手検査,水泳暦や泳法などの質問項目から,上腕二頭筋や肩甲下筋の水腫や石灰などの有症率を明らかにし,これらが生じる要因について検討を行った.超音波画像診断機器を用いた評価から,マスターズスイマーは先行研究で報告されているよりもかなり多くの肩周囲の異常所見が見つかった.これは痛みを有している症候肩ではもちろんだが,痛みを有していない無症候肩においても高い値を示した.一方,これらの異常所見と,その所見を有している筋への疼痛誘発テストには,統計学的な有意な関係は認められなかった.これらの結果より,水泳は肩の内旋や屈曲などの動作が繰り返されるため,水泳を行っていない中高齢者よりもメカニカルストレスが生じやすく,水腫や石灰が生じやすいことが示唆された.しかし,これらの所見が必ずしも痛みに直結しているわけではないため,今後も更なる研究が必要である.
「デサントスポーツ科学」第39巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 | 地神裕史*1, 大内洋*2, 金岡恒治*3, 加藤知生*4, 河野隆次*5 |
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大学・機関名 | *1 国士舘大学, *2 亀田メディカルセンター, *3 早稲田大学, *4 桐蔭横浜大学, *5 日本マスターズ水泳協会 |
キーワード